君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨


 よっぽどの相手じゃないと、こんな相談できないと思う。

 男だったら、自分の弱さを見せたくない気持ちだって強いだろうし。

 よく少年事件が起きると、コメンテーターがテレビで必ず言うセリフを聞いて、あたしはいつも思っていた。

『こんな深刻な事態なら、どうして早く大人に相談しなかったんでしょう? 本当に残念です』

 ……簡単に相談できたら苦労しないよ。

 事態が深刻なら深刻なほど、できない。

 あなたは自分の深刻な問題を、そんなに簡単にペラペラ相談できるんですか? って思う。

 相手が“大人”って存在なほど、相談するのをためらってしまうんだよ。あたしたちと大人は、世界がまるで違うから。

 境目に透明な壁みたいなものが確かにあって、目では向こう側が見えるけど、どうしてもそこを越えられない。

 そんな異世界の人間相手に、大事な相談なんかできるわけない。

 まして赤の他人になんか打ち明けられるばすもない。

 わかった顔してる大人ほど、結局なんにもわかってないもんなんだな。

 そんな風に考えながら、あたしは靴箱から革靴を取ろうとした。