責任はない。それは、そうなんだろうとは思う。
だからできることならあたしも凱斗に、責任なんかないよって言ってあげたいけど。
それは同時に自分自身に、
『あたしは入江さんの自殺なんか、なーんにも関係ありませんから』
って言っているのと同じことだ。
そんなこと、やっぱりあるはずがない。
あたしたちに責任はなくても、あたしたちの『せい』ではある。
『責任』と、『せい』。
それは似ているようで、やっぱり少し違うと思うんだ。
「奏、ほらまた考えてるでしょ」
靴を履き替えるのも忘れてぼーっとしているあたしに、亜里沙が声をかける。
「あたしの隣で一日中、そんな潰れたバナナみたいなネチョッとした顔してるつもり? 接近禁止令出すよ?」
「ごめん……」
「謝るのもなし。さ、もう行こう」
バンバンと背中を叩かれ、あたしは教室に向かって進んだ。
気分も体も、岩石でも背負っているみたいにずっしり重くて大変だけど、今日を過ごさなきゃならない。


