心臓がバクバクと破裂しそうに動き出す。
濡れた髪の冷たさも忘れるほど、顔も体も沸騰しそうに熱い。
体中を超特急で血液がグルグル駆け巡ってる。
どうしよう! どうしよう!
女の子なら誰でも一度は夢みる憧れの瞬間が、突然訪れちゃった!
心の準備なんて当然できてない。頭の中は紙吹雪が舞い散るカーニバル状態。
あたし、どうすればいい?
どんな返事をすればこの瞬間が、あたしと凱斗にとって最高に素敵な記憶になるんだろう!?
「おいおい? なに呼吸困難に陥ってんだよ。心配しなくても大丈夫だって」
興奮して口をパクパクさせてるあたしを見て、急に凱斗がプッと吹き出した。
「ほら見ろ。校門はもう出てるだろ?」
「え?」
「俺達もう門から出てるんだから、ぎりぎりセーフだよ」
「あ……」
あたしは少し離れた場所にある校門を見た。


