「今日は肉じゃがだよ。圧力鍋で煮込んでるからもう少しで出来上がると思う」

煮込んでいる間、鍋を見つめながら岡田さんは煙草に火を付け、ふう、と一息入れた。

その姿にドキッとしてしまう。
いつ見ても煙草を吸う姿は絵になるなあ・・・。

何故か分からないけど、無性に岡田さんに触れたくなってしまって、後ろからギュッと抱きしめた。
突然の事で岡田さんの身体がビクッと跳ねる。

「わ・・・!ど、どうした?急に!」

「うーんと・・・。分からないんだけど、なんかちょっと抱きしめたくなって?」

自分からこうやって岡田さんに寄るのは初めての事。
岡田さんも驚いていたようだけど、ふふっと少し笑い声が聞こえ、身体に回していた怪我をしていない方の手に岡田さんの手が重なる。

「嬉しいなあ。里緒奈から来てくれるなんて今までなかったから、夢みたいだ」

「夢みたいって、・・・言いすぎじゃない?」

「だって今までやってくれなかったじゃん」

そりゃそうだけど・・・。
自分から行くって結構勇気いるんだから。

「私岡田さんみたいに積極的な人間じゃないからね」