コンビニに寄って、今度こそおでんとカップの日本酒を2本買うと、アパートへ戻る。
小さな鍋でおでんを温めなおし、カップ酒の蓋を取ってレンジで1分。

今日の夕飯はこれで終了。
後は眠くなるまでちびちびとやるだけ。

テレビを点け、大して面白くもないバラエティー番組に時たまツッコミを入れながら酒を飲む。
こたつにハマって、こうやってゆったりと過ごすのは何よりも幸せな時間だ。

味噌を付けた大根を箸でちぎったところで、携帯が震える。
ディスプレイを見ると、「着信 岡田さん」とあった。

げ、電話まで掛けてくるのか。
なんだよ、こっちは楽しいひとり晩酌を満喫しているのに。

とは思うが、これで出ずに家に来られるのはマズい。
本当にやっかいだ。仕方がない、出よう。

「―――もしもし」

「あ、お疲れ、里緒奈。今何してたの?」

「家に帰って晩酌タイムです。邪魔しないでください」

「えー、いいなぁ。俺も混ざりたい、行っていい?」

「無理です。切ります」

「ああ、ゴメン!切らないで、嘘ウソ、行かない!」

何だこの電話は。
用があって掛けたんじゃないのか。
こっちはあつあつの大根を食べたいのを我慢して出てやっているというのに。