「あの、私なぜここに・・・」

私は恐る恐る聞いた。

酔っぱらってしまったのは分かる。
何故なら途中から記憶がない。何にも覚えていないのだ。

しかし酔っぱらって記憶を無くしても帰巣本能はあるらしく、いつもは朝起きると自分の家に戻って寝ている。
だから、こういった他の人の家に泊まるって事はなかったはずなのに。
なのにどうして私が、岡田さん家のベッドで寝ているのだろう。

「だってめちゃくちゃ酔ってたからさ。一人で帰ろうとしてたけど、あんなに酔っぱらっているのに帰らすわけにいかないじゃないか。俺も飲んでいて車使えないし、しかも俺は里緒奈の家を知らない」

・・・だからこの家に連れてきたってことか。

「別に良かったのに。私どんなに酔っぱらっても帰れる特技があるんですよ」

「ここから里緒奈の家は徒歩じゃ相当掛かるでしょ?もし途中で何かあったら俺が困る」

そりゃそうだけどさ・・・。
ならタクシーに突っ込んじゃってくれれば良かったのに。
付き合ってもいない男の家に泊まるって、こんなの誰かに見られてたら誤解されてしまうよ。

・・・って私が一番悪いんだよね。
記憶無くすくらい飲んじゃったんだから。
言えた口じゃないか。