私はビール片手に、揚げたての唐揚げを頬張る。
口の中で肉汁がじゅわりと溢れ出て、しっかりと味が染み込んでいてとても美味しい。
そして、その後のビールはなおさら旨い。

やるなあ、この居酒屋。
めちゃくちゃ美味しいじゃないか。

「さすがですね、岡田さん」

「気に入ってくれた?この店」

「とても美味しいです。気に入りました。あ、おかわりください」

はは、と苦笑いしながら、岡田さんは個室の戸を開けて店主に声を掛けた。
その間も私は目の前の料理に食らいつく。

仮にも目の前の人はメーカーの社員さん。
仕事後の飲みとはいえ、こんなにこき使うのは失礼に当たるだろうが、彼のお望み通り一緒に食事をしているのだから、こき使っても文句はないだろう。

「お酒強いんだね、真壁さんって」

「そりゃあ、あの工場の中でお酒弱かったら仕事出来ないですよ」

「ああ、そうだね。言われてみれば、酒好きそうなおじさんばかりだもんねぇ」

個室の戸が開き、ビールが運ばれてくる。
どうやら頼むペースが早いからか、ジョッキが3つ運ばれた。