その時だった。



「お待ちください! レティシア王女!!」



どこからか聞こえてきた必死な大声に、目前にいる2人の騎士が勢いよく立ち上がった。


無論、レティシア探しを目的としている僕も体をピクリと動かして、騎士と同じように立ち上がろうとした。



だが、フリュイの手が僕の膝を押さえつけていてそうはいかなかった。



「行くぞ!」


「ああ!」



騎士がいそいそと声の方に駆け出した。


当然僕も駆け出したい衝動に駆られたのだが、いかんせん膝を押さえつけているからそれは出来ない。


やがて騎士がだいぶ離れた時、フリュイの手が離された。


同時に、騎士がいなくなったことで緊張が解け、息が出来るようになった。



「フリュイ、僕らも行くぞ!」



バッと立ち上がった僕は、フリュイの腕を引いて立たせようとした。



「……うん、だよね。レティシア王女を探すのが目的だもんね」



だけど、どうやら足に上手く力が入らなかったようで、スルスルと僕の手を抜けてフリュイは地面にへたり込んだ。



「どうした?」


「あ、……えっと、まだ始まったばかりなのにもう旅の終わりなのかぁ、と思うと寂しくてさ」


「……僕も、寂しいけど」



様子の変なフリュイの同じ目線になってしゃがみ込む。