瞳が交わされる。
ジルの目が丸くなってパチパチと瞬きを繰り返す。
「……ろ、…っ」
どうやら相当恥ずかしいのか、何なのか、簡単には名前で呼べないらしい。
さっきは呼んだいたくせに、おかしいわね。
くす、小さく笑い、もう一度ジルを見ると、目つきが変わっていた。
優しげにジルのグレーの瞳が細められている。
どきん、胸が一気に騒めく。
「ロゼア、愛してる」
その言葉の衝撃が大きすぎて、私は言葉の通りフリーズしてしまった。
そして、足に力が入らなくなり、倒れそうになる。
「ロゼア様!」
ジルの腕によって保護された私は、なんだか彼に振り回された気になり悔しく感じた。
それに〝様〟は要らないったら。
そこで、ぐいっと彼のネクタイを引っ張ってみた。
「助けてくれてありがとう。ご褒美あげるわ」
至近距離でそう話し、私は彼に触れる程度に口付けた。
「私も愛してるわ、ジルのこと」
驚きで見開かれる目に恥ずかしくてたまらなくなり、またしても真っ赤になった私は彼の腕から早々に抜け出して紅茶やココアの香りがしているバベル達の元へ足を運んだ。
だから、ジルが座り込んだまま顔を手で覆ってバタバタと悶えていたことも
「私の赤き薔薇が私の手によって赤く色づくなんて歓喜でしかないですよ、勘弁してください……」
と、ほざいていたことも、私には知りようがない。
fin.


