「バ、バベル、様。私はどうしたら良いのでしょう……」
頭の中を駆け巡るレティシアとの思い出にしばらく浸っていれば、やっと再起動したらしいジルが眉を垂れ下げて僕を見ていた。
「どうしたらって、何が?」
「ロゼア様とのことです……」
「あー……えっ?」
ロゼアとのことって、え、嘘。
「お前まさか、ロゼアのこと好きなのか!?」
「恥ずかしながら、左様でございます」
「……ほぉ」
驚いておじいさんみたいな反応になってしまった。
だって、あの慌てた反応からロゼアがジルのことを恋愛感情で好きなのは目に見えた。
要は2人は両想いというわけだろう。
「私、ロゼア様のことを愛しているのです」
「それ僕に言ってどうするんだよ」
「あ……、すみませんっ」
ひゃー、すごいや。
ポーカーフェイスでクールなジルが顔真っ赤にしちゃってるよ。
「もし旦那様にロゼア様のことを愛していると知られたら私は…私は……っ」
あーなるほど、わかった。
ロゼアの近くにいられなくなるかもしれないことを考えて怯えている、と。
確かにロゼアがさっき言っていた通り、お嬢様と執事が結ばれるのは難しいと思う。
ロゼアの場合は、シュトラントで一番の大富豪のお家柄であるから特に難しいだろう。
「それから、レティシア様が見つからなかった場合、ロゼア様がバベル様に嫁いでしまわれます……っ」
その予定は僕的には全くないけれど。
レティシアがいるところはもう検討がついているし。
まあ絶対いるとは限らないけれど。
いなかった場合は、確かに自然と二番手とされているロゼアが僕の元に来ることになるだろう。


