「仲が良いんですね」
くすくす、と小さな笑い声がして、僕らは走る方向に顔を向けた。
「あ、どうもー」
「そんなことない!」
「おいフリュイ、照れてるにしても否定するのは酷くないか?」
「照れてない!」
「どこからどう見ても照れてるだろ」
言い合う僕らに、また運転手の女の子が笑った。
次は堪えることなく高らかに。
「いいテンポで会話なさるのですね」
「そう見えるんですか。びっくり」
「ええ、相性バッチリに見えますよ」
前方を向いたまま、彼女は楽しげな声でそう言う。
相性バッチリ、ですか。
フリュイを見れば、外を眺めていた。
口元がちょっと緩んでるように見えてまた笑いそうになったのを頑張って堪えた。
「ちなみに、ご出身はどちらで?」
「オリーヴェンの王都の隣町です」
「はぁー道理でお綺麗なわけだ。あそこは美人が多いとよく聞く」
「美人は多いですが、私はそんなことありませんよ」
謙遜する運転手さんに、僕は突っ込んでもう一つ質問した。
「もしかしたら、レティシアの遠い親戚だったりします?」
だって、やっぱり似てると思うのだもの。
「ずっと遠い親戚だったりは、します」
「嘘っ!?」
彼女の答えに、即座に反応したのは僕ではなかった。
何故か、フリュイだった。
「え、え、名前はなんて言うんです?」
窓から離れて彼女に寄っていくフリュイは、早口で彼女にそう聞く。
彼女は、少し動揺しながら「カーラと申します」と答えた。
カーラ。
カーラって、もしかして。
「オリーヴェン騎士団のカーラ?」
えっ。
何故かフリュイと声が重なって、僕はフリュイを見た。
何これデジャヴなんだけど。
フリュイは僕の視線に気付かず「うわぁ、久しぶりだぁ」なんて言っている。
なんでフリュイがカーラを知っているのだ。
それも、騎士団にいたことを。
「騎士団はやめたの?」
「え、ええ。腹違いの弟が病気になってしまったので」
「あ、そうなんだ。弟さんは?」
「昨年亡くなりました」
「それは……ご愁傷様です」
重たい空気が少しの間流れる。
ズバズバ聞いたフリュイの所為だ。
だけど、僕はそれよりもフリュイが何故知っているのかが気になる。


