柏木家は、彼女を残して全て灰になった。 旦那様も、若旦那様も。 誰かが噂した。 奥さんが火を付けたのだ、と。 真相はわからない。 僕が知るのは、微笑んだ彼女の瞳から零れた、一筋の涙だけ──… 宵越しの華−完−