背後で扉の開く音がした。
びっくりして、クラスメイトが一斉に振り返る。


そこには、細身長身を猫背気味に曲げた男子生徒がいた。


「どこ行くんだよ、晴」


長い前髪が表情を隠している。


「別に」


晴はそれだけ言うと、
いつも通りにイヤホンを耳に充てがい去って行った。

何を考えているのだろう。
1人になるのが、怖くないのだろうか。


「俺も……便所…」


そそくさと裕太と拓馬が教室を後にする。