「起立」


ギィーと椅子を引く耳障りな音がして、
教室中の生徒が立ち上がった。


「礼」


学級委員の号令で、
クラスメイトは思い思いに散らばる。


「ん〜、終わった〜!」


私は大きく伸びをした後脱力して、
そのままイスに崩れるように腰掛けた。


「理奈、この後暇だよな?」


「みんなでゲーセン行こうってなったんだけど、行くよね?」


背後から、聞き慣れた声が聞こえてきた。

後ろを振り返ると、
チャラチャラとした茶髪の夏期と、
高2とは思えない程幼い顔立ちをした遊喜が、満面の笑みで私の元に寄ってきた。