生け贄の教室



自分の席に座り、
イヤホンで音楽を聴きながら、
机に突っ伏している、
倉瀬 晴。


晴は普段から1人でいることが多かった。

いつも音楽を聴いていて、
あまり自分からクラスの輪に入ろうとはしない。

私自身、晴についてはよく分からなかった。


だけど、こんな状況でもなお平然を保っている晴に、
私は寒気がした。



「でもさ、そんな心配することないんじゃね?」



遙の隣で、夏期が軽い口調で言った。



「どういうこと?」



遊喜が依來の腕を抱きしめながら、
涙目で顔を覗かせた。