生け贄の教室



「遙……?」


私は遙のブレザーの袖を引っ張った。
ハッとしたように、遙は私を見下げた。


「どうした?理奈」


「ううん…。遙、すごく怖い顔してた」


私の言葉に、
遙はふわりといつもの優しい笑みを浮かべた。



「ごめん、考え事」



その言葉に、私はそっか、と答えると
パニック状態のクラスメイトたちを見渡した。


すると、その中に1人、
この場に似つかわしくない態度の男子生徒がいた。