「だてにプロになれた訳じゃねぇだろ。

それに、俺も感動した」



「なんでそんなでまかせ言うの?」




あたしは賢ちゃんを睨む。




「でまかせって……」




賢ちゃんは少女漫画から目を離し、訳わかんねーとでも言いたげに、あたしを見る。





「だって、賢ちゃんはFだもん。

あたしたちよりずっと……」



「Fだからって、感動しちゃ駄目なのかよ」




賢ちゃんは少し赤くなって眉をひそめる。

それで分かった。

賢ちゃん、本当に感動してくれたんだ。

すごくすごく嬉しい。

あたし、賢ちゃんが喜んでくれることを想像して、ステージに立ったんだよ?