「あー、もう!!」




賢ちゃんはそう言って、缶ビールをゴミ箱に投げる。

缶ビールは綺麗な円を描いて、ポスッとゴミ箱に入った。





「咲良、今日は泊まってけ」



その唐突な言葉に、



「は!?」



困惑を隠せない。





「お前、家に帰らせたら、またメソメソ泣きそうだからな!」



「なっ……泣かないもんッ!!」



「つべこべ言うな!

風呂入って、メシ食って、寝る!!!」





何その超上から目線!




だけど、賢ちゃんは超優しい顔であたしを見る。

例外なく、胸がドンドンと熱いスネアドラムを鳴らす。





「やっと会えたんだ。

……今日は帰せねぇ」





それは、あたしの台詞……かもしれない。

あたしも、ずっと賢ちゃんといたかったんだ。

賢ちゃんといたら、明日のライブも上手くいく気がするんだ。