賢ちゃんはタクシーにあたしを詰め込み、あたしの隣に乗る。 そして、 「何するの?離してよ!!」 相変わらず喚き散らすあたしの唇に、人差し指を当てる。 ビクッと身体を強張らせるあたし。 なぜか分からない。 すごく焦っているのに、胸がきゅんきゅんいって止まない。 「明日ライブなんだろ? 喉潰れるぞ」 賢ちゃんはそんなことを言って、すごい優しい顔であたしを見た。