桜田が柳沢さんに両腕を差し出した時だった。




「先輩!!!その子を止めてください!」




原田さんが脇腹を押さえながら、必死に走ってきた。




押さえているところからは血が流れている。




「原田さん!?その傷!」



「長野おおおおおお」




あっという間の出来事だった。




薔薇の香水が鼻をかすかにかすめたかと思うと、嫌な音がした。




ぐさっ





「え...」




僕の視界に入ったのは二人。






1人は桜田。そしてもう1人は美穂。土屋美穂だ。





桜田はよろめいたかと思うと力なく崩れ落ちた。





「桜田?桜田!?」




慌てて桜田を抱き起す。