行く先々は日本のように治安の良い国だけではないのだ。
むしろ日本が治安の良すぎる国だ、と潤一は口癖のように言う。
「でも、やめる気なんてないんでしょ? 写真」
「まあね。まだ行きたい国だらけだし。撮りたい風景をあげたら切りがない」
「なら弱気なこと言ってられないんじゃないの? 榎本先生」
あたしが挑発的に笑うと、潤一は珍しくいじけ口調になった。
「僕もまだまだだな。帰国早々、陽妃に渇入れられた」
潤一はいちばん大きなじゃがいもを頬張り、咀嚼し、ゆっくりとお茶を啜った。
それは、唐突だった。
「あ、そうだ。陽妃」
「今度は何?」
かしこまったわけでなければ、改まったわけでもなく。
まるで他愛もない会話の一部分のように、さらりとした口調だった。
「付き合ってください」
「へっ」
「ね」
へらっと笑う潤一に、あたしは「うん?」と首を傾げた。
この男にはタイミングとかシチュエーションとかないのだろうか。
そもそも、また冗談を言っているんじゃないだろうか。
「何それ」
「あ。もしかしてこれって振られた?」
ふざけているのか、本当にショックを受けたのか、やっぱり分からない。
潤一は「撃沈!」と心臓に手を当て、大袈裟にジェスチャーした。
むしろ日本が治安の良すぎる国だ、と潤一は口癖のように言う。
「でも、やめる気なんてないんでしょ? 写真」
「まあね。まだ行きたい国だらけだし。撮りたい風景をあげたら切りがない」
「なら弱気なこと言ってられないんじゃないの? 榎本先生」
あたしが挑発的に笑うと、潤一は珍しくいじけ口調になった。
「僕もまだまだだな。帰国早々、陽妃に渇入れられた」
潤一はいちばん大きなじゃがいもを頬張り、咀嚼し、ゆっくりとお茶を啜った。
それは、唐突だった。
「あ、そうだ。陽妃」
「今度は何?」
かしこまったわけでなければ、改まったわけでもなく。
まるで他愛もない会話の一部分のように、さらりとした口調だった。
「付き合ってください」
「へっ」
「ね」
へらっと笑う潤一に、あたしは「うん?」と首を傾げた。
この男にはタイミングとかシチュエーションとかないのだろうか。
そもそも、また冗談を言っているんじゃないだろうか。
「何それ」
「あ。もしかしてこれって振られた?」
ふざけているのか、本当にショックを受けたのか、やっぱり分からない。
潤一は「撃沈!」と心臓に手を当て、大袈裟にジェスチャーした。



