「知世、どうしたの?」


そう声をかけられて顔を上げると、いつの間にか花梨が登校して来ていた。


「なんでもないよ。おはよう花梨」


あたしはすぐに笑顔になってそう返事をした。


「なんだか元気ないね?」


「そ、そんな事ないけど……」


あたしはそう言い花梨から視線をそらせた。


付き合いが長い花梨の事は簡単には誤魔化せない。


「知世、その腕どうしたの?」


花梨が火傷の痕を見つけて目を丸くする。


「え、あ……ちょっとね」


「ちょっとって、火傷でしょ? ちゃんと冷やしたりしなきゃ」


「行きがけのコンビニで冷やしたから大丈夫だよ」


「じゃぁ、保健室で手当てしてもらおうよ。ね?」


心配そうにあたしの顔を覗き込んでそう言ってくる花梨。


「……そうだね、そうしようかな」


あたしは仕方なく花梨と2人で保健室へ向かったのだった。