以前にだって、あたしだけが知らないふたりだけの共通の想いが、時間があった。

時たまさみしさを感じていたけど、この前まではこんな疎外感は感じなかった。



それはなんでも康太があたしに相談してくれていたから。

そして、あたしが康太に恋愛感情を抱いていなかったから。



心が雨で濡れそぼる。

はらはらと涙がこぼれ落ちたあとのように頬がぴりりとしびれたような気がした。



あたしは、あたしたちは、その頃にはもう戻れないんだ。



静音がゼリーの入った器とスプーンを康太に手渡す。

同じようにあたしにも差し出してきたものを受け取りながら、ありがとうとともに言葉をこぼす。



「あんたたちって本当に仲いいよね」



バカップルのような雰囲気も多いけど、ただ甘ったるいうわべだけの関係じゃない。

想い合う姿が目に見えてわかるだけ。



まるで、幸せが全身から溢れ出して、周りに降り注いでいるようだ。



声に妬ましさが乗ってしまわなかったか、少し不安になる。

だけどそんな心配はいらなかったみたい、ふたりが顔を見合わせて頬を赤く染めた。