丸3日かけてひたすら彼を漬け込んだ。放置するとすぐに虫がたかるからと、彼の残したメモに『君の手で3日間、僕をしっかり漬け込んでくれ』とあった。


 だから、寝る時間を削って彼の体にまんべんなく塗りたくる。


 顔から体、足先まで塗り残しのないように丁寧に染み込ませていく作業はそうとうな体力の消耗だ。




 4日目にようやく風乾を半日だけ行ことができた。



 死肉の甘い香りにおびき寄せらる虫がたかってくるのでその度に追い払う。私の鼻にもなんともいえない不快な、それでも癖になる臭いがつくようになった。



 半日の風乾が終わるとそらからすぐにドラム缶に作られた取り出し口を閉じた。



 温燻にする。



 桜チップで燻す。温度は45度で12時間じっくりと燻す。


 火が弱くなることもあるので離れることはできない。


 一定の温度でじっくりと火を通さなければならない。これも彼の残したメモに細かく指示が出されていた。