「アユミさん、これで高野さんからの品を渡すのは最後です」

 品なんか貰ったことなんてない。

「あとはあなたがどう考えてどう判断するか、それは自由です。いいですね」

「……ええ」

「この地下室に降りるということは、もう戻れないということですよ」

「……中で何をしているの」

「この中には回収してきた死体が山のようにある。と、そこまでは教えて差し上げます」


 何をもったいぶることがあるのか。



『死体を買いたいという人も大勢いるんですよ』



 そんなことを言っていたっけ。ということはその取引がこの中で行われているのか。もしくはもっとほかの?



 さぐるように視線を這わせれば、答えるようにわざとらしく左の眉を上げた。



「それじゃ。いいですか」

「いいわ」この世界から私は抜け出せない。だったらとことん堕ちるまでだ。


「きっとアユミさんは気に入るはずです」

「じゃなきゃ高野はここに私を連れてこないわよ」

「心から高野さんのことがお好きなんですね」

「そうよ」