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あれから三年の年月が経ったが、いまだにこれだという獲物に出会えない。高野を越える誰かを求めているが、来るのはみんな足元にも及ばない。
唯一認めているのはこの少年だ。
この三年、こいつはいろんな死体と対面してきている。毎日せわしなく出掛けていき袋をひきずって戻ってくる。袋は決まって地下室に運ばれる。
この少年も夜中は地下室にこもりっきりになる。
そこで何をしているのかは聞いたこともないが。こんなところで生活しているわけだ。聞かなくともだいたいの憶測はできる。
それなら、この少年のしていることを私がしたら?
それは何よりのことじゃないか。待っていても獲物が見つからないならば、場所を変えればいい。
「話がある」私は少年が地下室から上がってきたタイミングで声をかけた。
「……なんですか」いつもと変わらぬ無表情で、目が冷たく死んでいるようだった。
「私にあなたがやっていることを教えて。それが一番楽しそう」
「…………やっとですか」
あからさまにため息をつき肩を落とした。
「やっと?」何を言っているのか分からない。
「あなたがそのことに気づくのに丸三年です。よかった、それが今日で」
「……納得いかないけど、答えはいいということね」
「こうなることだって、ここにある高野さんのシナリオ通りですから」
ポケットから色の変色した紙の束を引き抜き目の前で二、三度振ってみせた。
「……やはり高野にはかなわない」
「相手が悪すぎるんですよ」

