「高野さんは特別でした。ここへ来た誰しもが彼にひかれます。そして高野さんを喰ったあなたに喰われたいと望んでいる人たちがたくさんいました。アユミさんが喰ったのはそういった連中です。あなたの中で、高野さんと共に生きている」
「……私よりも近くにいる」
「そういうことです」
「……」
「……それならば私は、自分で自分を喰うわ」
「それでは意味がないんですよ」
「それはあなたが決めることじゃない」
「失礼しました」
私よりも近くにいるということに悔しくなった。自分のからだの中で高野と交わっている。溶け込んでいる。
そう考えるととてつもなく怒りがわいてきた。
私は獲物にすぎなかった。私の中に入りたがっていた奴らの手のひらに乗せられていたということか。
「悔しい」
「あなたがそういう気持ちになることも高野さんは計算済みでした」
「……こういう気持ちになることを全て分かっていたんだ。でも、最後は私が決める」

