ハメごろし


「アユミさん、本当にもうよろしいんですか」

「ええ。いいのよ」

「そうですか。高野さんも早かった方ですが、アユミさんも早い。やはり似ているのかもしれませんね。しかし、」

「……あの女はどこに?」

「……ああ。彼女はもうどこにもいませんよ」

「いない? そうか、残念。話してみたかったのに」

「それは驚きですね。彼女はあなたを獲物としか見ていなかったので」

「でしょうね。あの目はそうだったわ」


 残念だ。あの女とは一度会ってみたかった。会って聞きたいことがあった。しかしもうすでにここにいないということは、

 他の誰かに喰われてしまったということか。どんな喰われかたをしたのだろう。どんな思いをした? どんな感情がわいた? 

 あいつも私と同じような喰いかたかをされたのか? もしくはまた別の方法で?

 とにかく、それはあいつを食ったやつしか知らないことだ。




「できれば私が喰ってやりたかった」

「何故です?」

「私をこんな風にしたからよ」

「……自分がお嫌なんですか?」

「まさか。その反対よ。だからこそ、私の中に入れたかったの」



「高野さんも同じことを言っていましたよ」

「当たり前じゃない。私とあの人は一心同体なんだから」