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桜の木の下にはあの人の骨が眠っている。
ここに来るのはいつ以来だろうか。私の前を歩いている少年は前にここに来たときと変わらない格好で、背も伸びていないし体格も変わらない。
この世界の中でこの少年一人だけが止まっているように思う。
今日も私と同じような人達が何人か来ていて、桜の木の下を一心不乱に掘っていたり、あの小屋からうつろな目をしたヒトを連れて出てきて車に乗り込んだり、私がしてきたことをしている人達がいる。
あの女はどこにいったんだろう。
あいつは私が子供の頃、目の前で男の首にナイフを突き刺した奴だ。そこから血を吸っていた。
あの目は忘れない。だからあの時私を見て、笑ったんだ。
『おまえもとうとうここに来たか』
今ならあの女がこう言っていたことがわかる。あの笑みの裏にはこのことばがあったんだ。
きっと私がこうなることをわかっていた。こどもの時に見せたあの時からずっと、こうなることが分かっていたんだ。

