彼の体に塩、こしょう、ガーリック、オリーブオイルを中に染みるように丁寧に塗りたくる。

 何時間もかけて深く深く浸透するように、全身くまなくゆっくりと塗る。



 喉がなった。



 ドラム缶に収まった彼を見て、




「早く出来上がればいいのに」




 そう呟いた自分に鳥肌が立つ。





 身震いをし、肩を震わせた。


 鉄串をあらかじめ準備したドラム缶の上部の穴にはめこんだ。右から左へ突き刺す。


 彼の首、両脇に鉄のサックをあてがいしっかり座らせるように固定する。


 膝は曲げたが足の裏の皮を剥ぎ取った足はバランスが悪くあらぬ方向へ曲がった。首は上を向き、喉をまっすぐにする。腕は不自然に上がるが、肘から先はドラム缶に沿って不気味に曲がっていた。




 ああ、そうか。この中に入るために彼はガリガリの体になる必要があったんだ。




 食事を取らなかったのは内臓に自分以外の何かを残さないためだったんだ。





 だから、腹を裂いて内臓を取り出すといった指示が紙に書いてなかったのか。







 すべてわたしのためだったんだね。






 私に自分の中身を見せないための、






 やさしさだったんだ。