ハメごろし


 狂うほどの叫び声をあげた。

 口には粘着テープがはってあるため、悲痛なまでの叫びは鼻から抜けたかたちとなる。

 もがけばもがくほど結ばれた手足はきつく絞まるようになっている。それに気づかずに暴れたいだけ暴れたら、最後に泣くことになるのは自分自身だ。哀れだ。

 全裸の自分の上にまたがっている私を見上げて、動揺と恐怖と快楽と興奮が入り交じり、言葉にし難い表情を見せる。


 ほらね、この顔。これが見たかったの。


 欲望に流されないようにしようとしても、それには勝てないのよ。結局そこへ流れ着くように人はできているんだから。

 それでも理性でなんとか保とうとする。そうしようと思えば思うほど深みに堕ちるのに。それがたまらない。


 男も女も泣きながら叫べばいい。叫んで叫んでおかしくなればいい。それが私の快楽になる。


 動けば動くほどに気持ちとは反対の行動を体はとるでしょう?

 頭ではダメだと思っていても、ほら……



「からだは私に合わせてる」



 耳元でささやいてやれば体がぶるりと震え、硬くなる。



 肩を大きく震わせて我慢しているが、もうそろそろ限界か。




 男は女の方に顔を向け、涙をこぼしながら言ったことばは……




『…………ごめん』だろうか。



 私はゆっくりと男の首に指を絡め、動きに合わせて少しずつきつく絞めていく。

 顔が赤くなり、瞼が痙攣してきて、唇が小刻みに動く。

 女は体を力任せに揺さぶり泣きじゃくる。

 男は白目をむき、よだれを垂らしながら激しく震えた。




 やがて体全体が一度激しく痙攣し、





 動かなくなった。