ハメごろし


 初めて死体を見たのは7つか8つの頃だった。

 初めて死体を作ったのは18の頃。

 今まで殺してきた人たちはみんな私の中にいる。私の血となり肉となり共に生きている。

 私の中にはいろんな人がいる。腕や脚、顔、頭を撫でればそこには他の誰かがいる。



 ベッドに横たわるモノをいとおしく眺めていると、不意に玄関の扉が叩かれた。




「アユミさん、いらっしゃいますか?」


 この家を知っているのはあの少年だけだ。この声にも覚えがある。


「……なに」

「中にあるモノ、そろそろ処分しましょうか」

「……どうして」

「死体にしてからかなりの時間が過ぎていますので外に臭いが漏れてきていますよ。もう限界です。これでは気づかれます」

「……そう。私にはあまり臭いは分からないわ」

「ですが、アユミさん自身にだってほら、腐敗臭がまとわりついていますし、身体中がべったりと濡れていますよ」

「……気に入っていたのに残念だ。入ってきて」



 キィ……とドアが軋む音、中に入ってくるのは……よし、こいつ一人だ。




「……アユミさん、もしかしてまだ僕のことを狙ってるんだとしたら……」

「そんなんじゃないわよ。そんなこともう思ってない」

「それならいいんですけど」


 あの女……

 あいつも……ここにいるんだろうか。