ハメごろし


 っすーっとノコギリの刃を左腕の付け根のところに滑らせた。

 赤い線が入り、しとやかに鮮血が滴り落ちてきた。

 ノコギリについた血を指で絡めとり男の唇に口紅をひくようにあてがうと、妖艶な色に変わっていく。


「綺麗」


 男は自分の血を塗られたことで吐き気を催したのか、嗚咽に苦しみ涙目になっている。

 それもまたそれでいい。体が疼いてくる。


 溢れる血に重ねるように刃を当て、ノコギリの背に手をのせて、骨を切るように一気に体重をかけた。


「__________!!!」



 ガクンと腕が外れた。

 血が吹き出し切り口から血がポタポタと勢いよくしたたっている。切り落とされた腕は力なくだらりとしていて、男はソレを見て、恐怖に顔をくしゃくしゃにした。

 痛さよりも視覚の恐怖のほうが勝るのだろう。みんなそうだった。自分の腕や脚が切り落とされたのを見て、驚愕に震え……狂っていった。


 「_________!!」



「腕が動かないって言いたいのね。そうよ、切り落としたんだから動かない。あなたのこの腕は、必要ないの」


 赤く染まったノコギリで落ちた腕を横にずらし、切れた中身が見えるように移動してやった。