「入って」
「……へえ。なんかここ、殺風景じゃね?」
「それがいいでしょ。他に余計なことを考えなくてすむから」
「なるほどね。そんなに俺のことが好きか?」
「……ええ。とっても」
「どのくらいだよ」挑発する言い方は好きじゃない。
「殺したいくらい」
「それ、すげえいいね」
「そう?」
ベッドの上に腰かけて、ワイングラスを差し出した。
「こんな部屋にワインも不釣り合いだな」
「そんなこと言わないで。美味しいものなんだから」
黙って飲めばいいのよ。その無駄な口ももうすぐきけなくしてやる。
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コトが済めばこいつはタバコを口にする。そして水をゴクゴク飲む。でもね、その水には強い麻酔薬が入っている。
だから、
「そろそろ眠くなるでしょう?」
「ああ。なんか今日はすげえ疲れてるみたいだ。いつも通りだったのに」
「場所が変わったからよ」
「そうか」
まどろみの中で永遠に眠ればいい。

