「ようこそ。お待ちしておりました」



 入ってきたのはアイツの家族。『ちゃんとした』家族だ。


 私はアイツの愛人。


 私のお腹の中にはアイツとのこどもがいる。

 そのことでモメて、殺してしまった。

 だって、「おろせ」とか言うから。



「社長秘書の三峰です。いつもお世話になっております。社長から頼まれまして、こうしてお越し頂いております」


 深々と頭を下げてやった。いろいろな意味で。


「そうね、私は何も聞いていないのよ。いきなりこちらへ来いと言われてもねえ」


 アイツの妻はすでにアイツに興味はない。あるのは金だけだ。


「あたしだって今日彼氏と予定あったんだよ、なんなのパパ」


 娘の愛華はおとなしそうな顔をしているがかなりの遊び人とアイツが言っていた。


「まあ、そう仰らずに。社長からのおもてなしだそうですから」


「なにがおもてなしなのかしら」



 なんでもお見通し。といった感じで私をなめ回す。




 愛人ってバレてるのか。それとも怪しんでいるだけか。