尻餅をついた。腰が抜けたんだ。
ガチガチと歯が鳴った。身体中が震えている。尻を擦るように部屋の端へ逃げる。
目の前にはくるくると回りながら左右に揺れている父と母がいて、それは全く言葉を発しない。
排泄物がボトリと落ちた拍子に跳ねたそれが足元に飛んできた。
反射的に立ち上がり、震える腕をなんとか動かしてドアを開けようとしたが、思う通りに動かず何度も手が滑る。
その間にも軋む音は響き、吊られている父と母の体が徐々に大きく回りながら揺れ始めた。
『恐い! 助けて!』
心の中で叫んだ。
誰か。誰かここから出して。
逃げたい。ここから逃げたいよ。

