『アユミ
この手紙が君の手に渡るのは僕が予測した日よりだいぶ遅いと思う。
君はこの袋を受け取った少年に喉が鳴ったことだろう。
でも彼はダメだ。
彼はこれからの君をサポートしてくれる大切な存在だ。
目の前に咲いている桜はその下にたくさんの人の骨を抱えている。
畑の下には数えきれないほどの人のミンチが撒かれている。
目の前にいる少年はそのすべてを管理している。
さて、これから言うことが僕からの最後のことばになる。
君に最後のプレゼントをあげるよ。
気に入ると思う。すでに僕は君の中にいる。君の血となり肉となり、一緒に生きている。
君の最後の日まで、』
この先はなんて書きたかったんだろう。中途半端なところで終わっていた。
「アユミさん。あなたが僕のことを食べたいと思ってくれたことにとても嬉しく思います」
「……」
「僕を見て喉が鳴ったでしょう。でも、高野さんからのプレゼントを渡さないと。こちらへ」
私のことばを待たずに先を歩く少年の後を少し距離をおきながらついていく。

