1ヶ月もすると『彼』は骨だけになった。食べられるところはもう無い。
私は言われた通りに骨を粉になるまで叩き潰し、細かい骨はミキサーにかけてすりつぶした。
それを袋に入れると一番綺麗な服を着て、時間をかけて化粧をした。赤い口紅をひき、赤いマニキュアを塗った。
バッグに『彼』をつめて家を出た。向かう先は少し離れた場所で、見渡す限り畑の続くのどかなところ。
見たところ人家は無い。
何を作っているのか分からないけれど、畑の合間に目印のように桜の木がたっている。
彼は左右から数えて丁度4本目、真ん中の桜の木の下に骨を撒けと言った。
どうやって撒くのか指示は無かった。
『君はそこへただ行けばいいよ。すぐに次にやるべきことが分かるからね。僕からの最後の……』
「あのう、すみません。あなたが、アユミさんですか?」

