残りは完全に冷めてから冷蔵庫に入れて毎日少しずつ食べる。
燻された肉は甘味が増して冷めてからもまた違った食感になる。
「さあ、次は冷蔵庫に寝かせてある僕の舌はどうする?」
「……充分に漬け込んだので炭火で焼いて、」
「喉が鳴るでしょう? 僕もそうだった」
冷蔵庫に寝かせてあった彼の舌と手のひら、足の裏の皮を七輪で炭焼きにする。
これも彼が残したメモに書いてあることだ。
どうやって作って、どうやって食べるのか、事細かに記されている。
「それで、私はそれを最後の一かけらまで味わっていきます」
「忘れないで。全部だ」
「……はい」

