ふわりとした笑顔は、天使の微笑み。
白いラインの入った、丸首のグレーのジャケット。
コーラルピンク色が混じったスカーフを首に巻き、手を組んで立つ姿は背筋がピンと伸びていて美しかった。
小柄で、ピンクも似合って、可愛らしい顔立ち。
例えるならそれは、見ると思わず『可愛い』と笑顔で零してしまうような、カラフルでコロンとしたマカロンのよう。
私と違うところがたくさん。というか、違うところしかないかも。
「大体、ケーキを作るってこと自体細かそうですし。典型的A型男子ですよ、きっと。一緒にいたら疲れそうじゃないですか?」
昨日の女の子を頭に思い浮かべていると、横で多少乱暴な手つきをしながらぼやく志穂ちゃんの声が聞こえてくる。
「硬派っぽく見せといて、実は変わった趣味があるとか」
しゃがみこんで返品の商品をダンボールに梱包している彼女を、憤慨する気持ちで見下ろした。
「確かに細かな仕事だとは思うけど……。でもそれが、絶対神経質だってことにはならないだろうし、自分の物差しで他人をはかるような人じゃないよ。……きっと」
今日、私の顔を見るなり思い出すのだろう。
不機嫌な彼女はことあるごとに、ブツブツと不満染みた言葉を言い続ける。
それは百パーセント神宮司さんへの言いがかりなんだけど、それを肯定するなんて言語道断だし、笑顔でスルーすることも出来ない。
我慢できずに、つい反論をしたものの、ジロッと厳しい視線が跳ね返ってきて語尾が萎む。
「ああいうタイプが選ぶ彼女って、どんな人なんでしょうね? あ! あの女だったりして」
すっくと立ちあがり、空を見つめ、ひとつ手を叩く。
私は目を丸くして志穂ちゃんを見た。
「すれ違ったじゃないですか。いかにも女を武器にしてるようなタイプの女子と」



