「ああ。大なり小なり、人の上に立つ立場ってのは大変だな。俺なんて、遥だけでも大変だと思うことあるのに」
神宮司さんは、パンを口に運ぶ手を一度止め、フッと短く笑う。
「いえ、私はなにも。それに、昨日部下が言ってたことは事実ではありますし……。私って、本当にガサツなんですよね」
「本当にガサツだったなら、昨日のあの場面で空気読んだりできないと思うけど。あの子のこと、迷わず追いかけてすごいなと思ったよ」
自分の恥を晒された内容を思い出して苦笑すると、彼は笑うことも呆れることも戸惑うこともしなかった。
彼は、やっぱり真剣に受け止め、その上で心から私を認めてくれる。
そんな言葉を並べ、真っ直ぐに私を見てくれる。
神宮司さんの、そんな真摯な態度がうれしい。
けれど、反面、素直に受け取ることが出来なくて目を泳がせる。
「で、でも。私、両手に荷物持ってたら、つい足でドアを閉めちゃったりとか……。お鍋のまま、インスタントラーメン食べちゃったりとか……」
バカ。敢えて言うことでもないのに。
沈黙は落ち着かなくなるからと慌てた結果、こんな晒したくない情報を流してしまった。
混乱した私は、どうでもいい自分の続報を公開してしまって、心の中で泣きわめく。
神宮司さんを見ると、一驚を喫した様子で固まっていた。
それから少しして、彼は面白そうに声を押し殺して笑い始める。
「あー。そうなんだ」
「……引きますよね? 男の人なら、なおさら」
「いや、別に?」
呆れた目を向けられるよりは、今みたいに笑ってくれた方がいい。
そう思って、ここはもう自虐ネタとして突き進むしかない!と自分でも笑って対応する。
けれど、神宮司さんは、やっぱり私が想像するような反応をしない。
彼の笑いは、私を小馬鹿にした意味合いのものではないのだと、目の前の表情を見てわかる。
神宮司さんは、パンを口に運ぶ手を一度止め、フッと短く笑う。
「いえ、私はなにも。それに、昨日部下が言ってたことは事実ではありますし……。私って、本当にガサツなんですよね」
「本当にガサツだったなら、昨日のあの場面で空気読んだりできないと思うけど。あの子のこと、迷わず追いかけてすごいなと思ったよ」
自分の恥を晒された内容を思い出して苦笑すると、彼は笑うことも呆れることも戸惑うこともしなかった。
彼は、やっぱり真剣に受け止め、その上で心から私を認めてくれる。
そんな言葉を並べ、真っ直ぐに私を見てくれる。
神宮司さんの、そんな真摯な態度がうれしい。
けれど、反面、素直に受け取ることが出来なくて目を泳がせる。
「で、でも。私、両手に荷物持ってたら、つい足でドアを閉めちゃったりとか……。お鍋のまま、インスタントラーメン食べちゃったりとか……」
バカ。敢えて言うことでもないのに。
沈黙は落ち着かなくなるからと慌てた結果、こんな晒したくない情報を流してしまった。
混乱した私は、どうでもいい自分の続報を公開してしまって、心の中で泣きわめく。
神宮司さんを見ると、一驚を喫した様子で固まっていた。
それから少しして、彼は面白そうに声を押し殺して笑い始める。
「あー。そうなんだ」
「……引きますよね? 男の人なら、なおさら」
「いや、別に?」
呆れた目を向けられるよりは、今みたいに笑ってくれた方がいい。
そう思って、ここはもう自虐ネタとして突き進むしかない!と自分でも笑って対応する。
けれど、神宮司さんは、やっぱり私が想像するような反応をしない。
彼の笑いは、私を小馬鹿にした意味合いのものではないのだと、目の前の表情を見てわかる。



