昨日、志穂ちゃんのご機嫌を取るのはなかなか大変だった。
なぜ、私がそこまでしなきゃならないのか?と考えたりもしたけど、これからも一緒に働く手前、放っておくことも出来なかった。
そして、翌日の今日。
私は、ランコントゥルの前にいる。
店先に立ち、入るタイミングを見計らうこと数分間。
腕時計を確認しては、店内を窓越しに窺って……の繰り返し。
時間は午後一時を回ったところ。同じ接客業ではあるけれど、ケーキ屋さんのピークが何時頃なのか見当がつかなかった。
見たところでは、お客さんが込み合ってる様子はないものの、代わる代わる来店し続けてる。
一度でも客足が途切れたときに入ろうと思ってるんだけどな。
そうしてさらに数分後。ようやくお客さんがいなくなった瞬間を見計らって、遠慮がちに入店した。
静かに扉を開けたつもりでも、お客さんの来店を知らせるドアチャイムが鳴る。
それを合図に、ショーケースを開けて作業していた女性店員が顔を上げた。
「いらっしゃいませ」
「あ、あの……」
「ああ、ごめん。俺のお客さんなんだ」
なんて切り出せばいいか答えあぐねていると、いつの間にか神宮寺さんが現れた。
「これから休憩取るから、外に出ようか。裏口から回るから、表で待ってて」
そう言って、神宮寺さんはロングエプロンを手早く外し、上着を羽織った。
店員の女の子に軽く会釈をして外に出る。
まもなくして、裏の方からジャリジャリと足音が近づいてきた。
足元一面に敷き詰められた、ヴィンテージピンクの化粧砂利。
音のする方向へとその砂利を辿って行くと、その先に黒い靴が見えた。
なぜ、私がそこまでしなきゃならないのか?と考えたりもしたけど、これからも一緒に働く手前、放っておくことも出来なかった。
そして、翌日の今日。
私は、ランコントゥルの前にいる。
店先に立ち、入るタイミングを見計らうこと数分間。
腕時計を確認しては、店内を窓越しに窺って……の繰り返し。
時間は午後一時を回ったところ。同じ接客業ではあるけれど、ケーキ屋さんのピークが何時頃なのか見当がつかなかった。
見たところでは、お客さんが込み合ってる様子はないものの、代わる代わる来店し続けてる。
一度でも客足が途切れたときに入ろうと思ってるんだけどな。
そうしてさらに数分後。ようやくお客さんがいなくなった瞬間を見計らって、遠慮がちに入店した。
静かに扉を開けたつもりでも、お客さんの来店を知らせるドアチャイムが鳴る。
それを合図に、ショーケースを開けて作業していた女性店員が顔を上げた。
「いらっしゃいませ」
「あ、あの……」
「ああ、ごめん。俺のお客さんなんだ」
なんて切り出せばいいか答えあぐねていると、いつの間にか神宮寺さんが現れた。
「これから休憩取るから、外に出ようか。裏口から回るから、表で待ってて」
そう言って、神宮寺さんはロングエプロンを手早く外し、上着を羽織った。
店員の女の子に軽く会釈をして外に出る。
まもなくして、裏の方からジャリジャリと足音が近づいてきた。
足元一面に敷き詰められた、ヴィンテージピンクの化粧砂利。
音のする方向へとその砂利を辿って行くと、その先に黒い靴が見えた。



