ドルチェ セグレート

今日まで、何度も何度も確かめた。

あの日の着信は夢じゃなかったのか、と携帯を見れば、ちゃんと履歴が残ってる。

今日は、〝約束の〟日曜日だ。

「あれ? 河村さん、今日の服なんか雰囲気違います?」
「え! ううん。そんなことないと思うよ!」

さすが女子力抜群の志穂ちゃんだ。
ちょっとの変化でも敏感に感じ取る。

「や~、なんか早起きしすぎて」

抱えてたダンボールをレジカウンターの隅に置いて、照れ隠しに大口開けて笑った。

早起きしてしまったというのは本当。
ただ、そうしようとしたわけじゃなく、緊張して眠りが浅かったために早起きしてしまったという……。

デートだなんて、おこがましいからそんなふうには考えてない。
だとしても、多少身なりを気にしてしまうというのが女子ってものだ。

それでも、変に悩みまくった私は、この〝仕上がり〟がアリなのかナシなのか、冷静に判断できなかった。

とりあえず、普段からスカートはほぼ履かないので、そこはいつも通りのパンツスタイル。
その分、トップスはちょっと柔らかめがいいのかな?と、春らしいパステル系イエローのふわりとした素材をチョイス。
デコルテが見える襟元だから、ちょっと上品に見えそうな二連のネックレスをつけてきた。

今日の日のために用意した服ではないけれど、確かに職場に着てきたことはないかもしれない。

そのせいか、頭の先から爪先までじっくりと観察するように、志穂ちゃんが何度も視線を上下させる。
その視線がずっとまとわりついて、どうにも落ち着かない。