それから、あたし達は倉庫ではなく病院へと向かった。


髪を引っ張られたりスタンガンを浴びせられたりと散々な目にあったあたしだけど、これと言って病院に行くほどの怪我はなく、打撲や擦り傷程度。


これぐらいなら薬を塗っておけばいいかなと思ったけど、車に轢かれた十夜はそういう訳にもいかなくて。


大丈夫だと言い張る十夜を無理矢理病院へと連れて行った。



検査の結果は全身打撲と肋骨二本にひび。

一番気にしていた頭の傷は思ってたより軽傷で、少し切れただけで縫う必要はなかった。


入院はしなくても大丈夫と言われたから、家へ帰らず鳳皇の倉庫へ。

貴兄達はメンバー達を放っておけないからと、獅鷹の倉庫へと帰った。


因みに、あれだけ鳳皇に執着していたシンは、あたしが海へと落ちたのと同時に煌達が取り押さえたらしい。


その後、シンがどうなったのかは知らない。

十夜に聞いても貴兄に聞いても教えてくれなかった。


けど、一つだけ。


『もうお前の前に現れる事はない』


それだけ言われた。


それが何を意味するのかはあたしには分からなかったけど、その一言を聞いた途端身体の力がフッと抜け落ちた。