Christmas Rose



「マグ…」


執務室に入るといつものように書類で山積みになった使えにマグぼーっと座ったままだった。


「…アリス様。この度は本当に申し訳ありません。シド様が国王に、そしてアリス様が王妃様になられたばかりなのに…」


アリスはマグの隣に座り彼女をじっと見つめた。


「私達のことは何も気にしないで。それよりマグは本当にいいの?ここを…この仕事から離れてしまって。」

マグは俯き手を握りしめた。


「…アーシャリー家には男児がいません。いずれ私が結婚し、夫となる人に当主になって貰わなければなりません。王宮で働く事は幼い頃からの夢でしたが、この運命から流れることは出来ません。」


「…そうね、、」


アーシャリー家に生まれた運命…

アリスも少し前の自分と照らし合わせた。


部屋の外でドアにもたれかかり、二人の話をランスが聞いていた。


***


夜、夕食の後でランスがシドの部屋に訪れた。



「…アーシャリー家の当主を呼び出したんだってな。」


ランスの言葉にシドは書類にサインする手を止めた。

「ああ。口出しは出来ないが、アーシャリーの当主と話をするのは何も問題ないだろう?それより、お前はいいのか。マグがここを去っても。」


ランスはふっと笑みをこぼした。