アリスはキースを呼びとめた。
名前を呼ばれてキースは振り返った。
「・・お帰りですか?」
「・・アリス様。。ええ、明日から隣国へ視察に行かねばなりません。」
「そうですか・・。」
「あの夜はありがとうございました。私は、これでようやく決心がつきました」
キースはそう言うと、ホールを見渡した。
決心・・。
リエルと別れる決心がついたんだろうか。
キースは深くお辞儀をすると馬車に乗り込みギルティを去って行った。
アリスは城の門までキースを見送った。
リエル様の事は、私が守る。
他国へ嫁ぐ不安な気持ちを一番よく知っているのは私だ。
アリスは城の中へ戻った。
「・・エド、リエル様は?」
噴水の水音が静かに鳴る中庭。
リエルはチョロチョロと流れる水をそっとすくった。
水面に映るリエルの顔はとても悲しそうで、今にも泣き出してしまいそうだった。
「リエル様・・・」
アリスはそんな様子のリエルにそっと声をかけた。
「アリス様・・」
リエルは涙を拭い立ちあがった。
「あの夜は、ありがとうございました。」
リエルは頭を下げた。
「・・キース伯爵と話は出来ましたか?」
リエルは優しく微笑むと頷いた。
「・・・よかった。ごめんなさい。あんな事しかしてあげられなくて」
「・・やめて下さい。。アリス様のお陰で最後にキース様と話すことが出来ました。」
アリスは首を横に振った。
もう、人の人生を国の為だけに使うような真似はさせない。。
リエルはアリスの手を取った。
「・・私も今日からギルティの人間です。アリス様の力になれることならなんでも致します。」
リエルの言葉にアリスも微笑んだ。