シドが王宮から戻ると、夜が明けぬままギルティへ戻ることになった。



「レオ、これからアラン様をしっかり支えるんだ。」


アリスの言葉に、レオは受け取ったペンダントを握って頷いた。



馬車に乗り込み、アリスは窓から城を眺めた。


「シド、本当にありがとう。」


「・・これ、ソフィア様から。」



包み紙を開くと紫のヒヤシンスが。


これ、姉上が育てていた。。


ソフィアは自分の庭園で様々な種類の花を育てていた。



「・・紫のヒヤシンス。花言葉は許し。」


シドの言葉にアリスは顔を上げた。



「・・姉上は、私を許してくれるのだろうか・・」



するとシドは優しく微笑んだ。


「・・その逆だ。私を許して下さい。」



姉上・・・。


アリスはポロポロと涙を零した。


その頃、ソフィアもテラスに出て星空を眺めながらアリスを想っていた。



国は違えど、血のつながったたった一人の姉妹。


また、いつか会えるよね・・・。


姉上・・。


頬の涙をシドがそっと拭った。

ヒヤシンスを握りしめたままアリスはシドにもたれて眠った。



長い夜が明けて、新しいアステルの一日が始まろうとしていた。