「どうしたんだろうね?」

「俺、様子見てくるわ」


そう言って、キョウが一歩を踏み出したものの、すぐに足を止めてポケットからスマホを取り出した。

どうやら何かメッセージが来たらしく、画面をタップしている。


「あ、律だ」


その名前が出されて、ひとまずほっとする。

今日の約束をした後、都合がいいだろうと、キョウだけは律と連絡先を交換していた。

まぁ、それもキョウが半ば強引に聞き出したみたいだけど。

彼からの連絡は何なのか、私とありさも注目する。

……けれど、キョウの表情はみるみる強張っていく。


「どうしたの?」

「……先、帰るって」


キョウの口から重々しく出された言葉に、私達は「えっ!?」と戸惑いの声を上げた。


先に帰るって、どうして?

さっき、楽しいって言っていたばかりなのに……!


「何で!?」

「知らねーよ!」


眉根を寄せるありさに、キョウは怒ったように荒々しくスマホを渡す。