思わず立ち止まって見惚れていると、私に気付いた律が手を上げた。

慌てて駆け寄り、「こ、こんにちは……」と頭を下げる私に、彼が笑いかける。


「どうしたの、改まって」

「あ、や、律カッコいいなと思って……」


ぽーっとしたままそこまで言って、はっと口を手で押さえた。

うわ、私ってば、なぜバカ正直に!

一瞬キョトンとした律だけど、すぐにぷっと吹き出す。


「何言ってんの、自分だって可愛いくせに」


──キュンっ。

さりげなく言われた一言で、胸が小さく鳴いた。

どうしよう、嬉しい……。

いつも軽い律にしてみれば、どんな女子にもこんな言葉をかけているかもしれないのに。

それでも、恋する心は素直に反応してしまうのだ。


「あ、ふたり早ーい!」


そこへ、ショートパンツから細い脚を覗かせるありさがやってきた。

彼女の隣には、今日も無愛想なキョウがいる。


「一緒に来たの?」

「まさか! コンビニ寄ってたら会っちゃった」


ありさと笑って話している横では、キョウが律と向かい合う。