「もちろん。ここは2対2の方が逢坂くんだって気まずくないでしょ」

「とか言って、お前が遊園地行きたいだけじゃ」

「ねー小夜、どこ行く!?」


キョウの言葉を無視して、ありさが私ににっこり笑いかける。

憮然(ぶぜん)としているキョウを目の端に映しつつ、「……私も、遊園地行きたい」と、ぽつりとこぼした。


律と遊園地でデートするのは何度も妄想していたけど、きっともうそれは叶わないんだろうと諦めていた。

でも、ふたりきりじゃなくても、律と憧れの時間を共有したい。


私とありさの意見が合って、ふたりでキョウを見上げると。

彼は観念したようにため息を吐き出した。


「わかったよ。で、律には誰が声かけんの?」

「「……」」

「俺かよ!」


じっと見つめる私達の無言の圧力を受けて、キョウはがっくりとうなだれる。


「この間タンカ切った俺が誘うっておかしいだろ」

「仲直りしようって意味で誘えばいいじゃん。それが一番自然」

「自然じゃねーって……」


頭を抱えるキョウに構わず、ありさはさっそく計画を立て始めるのだった。